子ども食堂リポート
子ども食堂リポート
地域の子どもを見守り、育てる

Vol.12 こども食堂「寺子屋カフェ」

2021.03.16

 

「今、一番困っている人」を
助けられる場所に

 

老若男女が集まる“駆け込み寺”
温かい食事でリラックスを

水曜の夕方、熊本市東区の住宅街に老若男女が集い始めました。佐藤彩己子(あつこ)さんが代表を務める「寺子屋カフェ」の炊き出しの時間です。 辺りにカレーの香りが漂い、参加者から笑顔がこぼれます。「子どもに限らず、コロナ禍で失業した方や生活困窮者への支援も目的の一つ。 また、人吉に出張し、熊本豪雨の被災地支援をしているボランティアの方に対する炊き出しも行っています」と佐藤さん。 幅広い人を受け入れる場となっているようです。

「寺子屋カフェ」のスタートは2016年2月。 数回、試験的に開催した後、佐藤さんは一過性のイベントにしてはいけないと感じたそう。 「その時だけ空腹が満たされても、親が本当に貧困から脱出しないと根本的解決にならない」

どうすればいいのかを模索し始めた同年4月に熊本地震が発生し、一時食事の提供事業は休止に。 佐藤さんは全国から寄せられた物資を被災者に配り、車中泊の被災者の実態を調査する「よか隊ネット」や、シングルマザーへのサポートを行う「シンママ熊本応援団」の立ち上げに尽力。 形を変えながらも“社会的弱者”への支援活動を続けました。

 

 

「子ども食堂」の枠を超え
幅広い支援の入り口に

 

震災後、多くの人と関わる中で佐藤さんが直面したのは、子どもやシングルマザーを取り巻く貧困の根深さ。 「相談のために役所へ行くバス代がない」「身の回りの品をキャリーケースに入れて友人の家を転々としている」といった話を聞き、多方面からの支援の必要性を痛感したといいます。

準備期間を経て19年4月、本格的に食の提供支援事業を再開。同時に児童相談所や自治体など公的機関への紹介、就職サポートといった、幅広い支援活動を行っています。「時には役所へ一緒に出かけて訴えたり、弁護士を紹介したり、行くあてのない親子の宿泊場所を提供したり。ほんと、いろいろです」

『助けて』と言い合える関係づくりを行いたいとの気持ちで、今一番困っている人に手を差し伸べてきたという寺子屋カフェ。「一度に全員は無理だけど、目の前にいる一人なら絶対に助けられるんです」。 佐藤さんの語り口からは、優しさとともに力強さが感じられました。

 

 

 

活動の詳細はFacebook「寺子屋カフェと自然生活仲間達」で検索を!代表の佐藤彩己子さん

 

【こども食堂「寺子屋カフェ」】

住所/熊本市東区新南部6-2-16
みんなのコミュニティースペース「ジョアン:恕庵」内
☎090(8395)8300(佐藤さん)

開催日時/第1・第3水曜 14:00〜21:00
利用条件/どなたでも(できれば事前に連絡を)

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