お金と暮らしの教室
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金融商品のリスクとリターン

2021.11.17

10月号では、投資信託の基本について紹介しました。金融商品にはリスクがあることをこの連載でも何度かお伝えしてきましたが、今回は具体的にどんなリスクがあるのかを解説します。リスクとリターンの関係を理解し、着実な資産形成につなげていきましょう。

 

 

 

 

リスクとリターンは比例する

 

株や国債、投資信託など、どのような金融商品にも、「リスク」と「リターン」があります。リターンとは、「資産運用を行うことで得られる成果」のことであり、収益を得られることもあれば、損失が出ることもあります。

一方リスクは、「リターンの振れ幅」を表しています。つまり「リスクが大きい」という言葉は「大きな収益を得られる可能性もあれば、大きな損失が出る可能性もある」という意味です。一般的にリスクとリターンは、「リスクを抑えようとするとリターンは低下し、高いリターンを得ようとするとリスクも高まる」という「比例の関係」にあります。

 

リスクとリターンの関係 ※これは一般的なイメージ図であり、全ての金融商品があてはまるものではありません

 

 

 

 

 

4つのリスク

 

資産運用において最も危惧されるのは、リスクが大きくマイナスに振れ、投資した資金が大幅に減額してしまう場合です。株や投資信託の組み合わせなど金融商品によって伴うリスクは異なります。具体的にどのようなリスクが生じる可能性があるのかを見てみましょう。

 

 

① 価格変動リスク(株式、投資信託など)

金融商品の値動きによるリスクです。運用商品は、経済動向などで日々価格が変動(上昇または下落)するため、売却時の価格が、購入時の価格より、値上がりしているか値下がりしているかが確実ではありません。

 

② 信用リスク(株式、国債など)

株式や債券の発行体(国や企業など)の経営・財務状況の悪化などによって生じるリスクのことです。発行体の倒産などの理由により、分配金や償還金があらかじめ決められた条件で支払われない可能性もあります。

 

③ 為替変動リスク(外国の金融商品)

為替レートが変動する可能性のことです。外国通貨建ての資産に投資する場合、一般的には円高になれば基準価額にマイナスの影響、円安ならプラスの影響があります。

 

④ 金利変動リスク(株式、投資信託など)

金利が変動する可能性のことです。一般的に、金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券価格は上がります。また、満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を大きく受けます。

 

こういったリスクを分散するため、さまざまな商品を組み合わせてある投資信託は比較的リスクコントロールしやすい金融商品といえます。

 

 

 

 

投資と投機の違い

 

リスクとリターンの図の中に、仮想通貨とFXがあります。ハイリスクハイリターンのゾーンに位置していますが、これらは投機性(機会に乗じて、短期間で売買し、利益を得ようとすること)が高く、「安いときに買い、高いときに売る」取引のことを指します。簡単そうにも見えますが、専門家でさえも収益を上げ続けることは困難です。ギャンブル要素が強く、投資の基本である長期運用からも外れるので、個人的にはおすすめできません。

これから資産運用しお金の勉強を始めたい人には、10月号でお話ししたように「つみたてNISA」などの投資信託から始め、値動きや仕組みを勉強しながら金融リテラシーを身に付けていってほしいと思います。

 

 

 

禍福はあざなえる縄のごとし CFPファイナンシャルプランナー須﨑 雅保さん

禍(災い)と福(幸せ)は、より合わせた縄のように入れ替わりながら交互にやってくるという意味です。リスクを上手にコントロールしてこそ、期待したリターンを得ることができます。そのためには、まずリスクを知りそれをコントロールできる知識や判断力を身に付けていきましょう。

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