子どもが周りの人から「男の子なのにピンク色の服を着ているのは変」「女の子なのにままごとは嫌いなの?」と言われたら、パパママはどのように感じますか? 「女の子らしさ」「男の子らしさ」より、「その子らしさ」を尊重したいと思いつつ、どのように対応したらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。今回は、幼児期の性の発達や多様性への理解などについてお伝えします。
幼児期の子どもの興味や行動の受け止め方などについて、尚絅大学短期大学部幼児教育学科准教授の増淵千保美さんに話を聞きました。
話を聞きに行ったのは読者スタッフの豊田直子さん。
最近、息子の稜久くん(2)が“花柄のピンクの長靴”を選んだことで、周りから「男の子らしくない」と言われ、気をもんでいたそうです。
児童福祉や幼児教育を専門とする増淵さんは、「2~3歳ごろは、男女観より、自分が『好き』『きれい』と思って物を選ぶことの方が多いので、その素直な気持ちを受け入れることが大切」と言います。
反対に、子どもの選択に親が口出ししたり、周りがからかったりすると、その子らしさを否定することにもつながりかねないとか。「たいてい、子どもの幼い頃の興味や行動はその都度変わるものです。ある時期の選択で、その子の将来を予測するのではなく、『あなたはこの色が好きなんだね』と、今の気持ちに理解を示し、子どもの自己肯定感を育んでください」と増淵さん。さらに、周囲には「子どもが選んだ」ことや「それを私(親)は認めている」ことを、毅然とした態度で伝えることが大切なのだそうです。
近年、「多様性の時代」という言葉がよく聞かれ、性に限らず、さまざまな価値観や生き方を認めることが求められています。では、子どもが多様性への理解を深めるためにはどうすればよいのでしょうか。
増淵さんによると、日頃から家庭の中でさまざまなアイデンティティーについて話すのも一つの方法だそうです(下の「子どもが多様性への理解を深めるために」参照)。「いつも一緒にいる身近な大人の言葉が、子どもの心には一番響くものです。さまざまなアイデンティティーを受け入れるオープンな家庭環境を築くことで、将来、子どもが自分の個性について迷ったときも安心して自己表現できると思います」
子どもを“型”にはめるのではなく、ありのままを受け入れることは、自分や周囲の人を認める心を育むことにつながります。そのためにも、大人が多様性を理解した上で、子どもに接するなど、家庭でできることを考えてみませんか。