2020.09.23

女の子・男の子らしさって何?大切にしたいわが子らしさ

 

子どもが周りの人から「男の子なのにピンク色の服を着ているのは変」「女の子なのにままごとは嫌いなの?」と言われたら、パパママはどのように感じますか? 「女の子らしさ」「男の子らしさ」より、「その子らしさ」を尊重したいと思いつつ、どのように対応したらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。今回は、幼児期の性の発達や多様性への理解などについてお伝えします。

 

 

親子でチャレンジ!○×クイズ次の○×クイズの答えとその理由を親子で考えてみよう。ピンク色の服は女の子用だ。女の子は優しく、男の子は強い方がいい。女の人も国のリーダーになれる。答えと解説 色によって、女の子用、男の子用の区別はありません。好きな色や柄を選んでいいのです。 性格や能力を男女で決めつけることはできません。それぞれの良さを認めることが大切です。 日本では女性総理大臣はまだ誕生していませんが、海外では多くの女性リーダーが国を引っ張っています。取材協力/熊本市男女共同参画センターはあもにい

 

 

 

子どもをありのまま受け入れること

 

幼児期の子どもの興味や行動の受け止め方などについて、尚絅大学短期大学部幼児教育学科准教授の増淵千保美さんに話を聞きました。

 

子どもの将来を予測するより
今の気持ちに寄り添って

 

話を聞きに行ったのは読者スタッフの豊田直子さん。

最近、息子の稜久くん(2)が“花柄のピンクの長靴”を選んだことで、周りから「男の子らしくない」と言われ、気をもんでいたそうです。

児童福祉や幼児教育を専門とする増淵さんは、「2~3歳ごろは、男女観より、自分が『好き』『きれい』と思って物を選ぶことの方が多いので、その素直な気持ちを受け入れることが大切」と言います。

反対に、子どもの選択に親が口出ししたり、周りがからかったりすると、その子らしさを否定することにもつながりかねないとか。「たいてい、子どもの幼い頃の興味や行動はその都度変わるものです。ある時期の選択で、その子の将来を予測するのではなく、『あなたはこの色が好きなんだね』と、今の気持ちに理解を示し、子どもの自己肯定感を育んでください」と増淵さん。さらに、周囲には「子どもが選んだ」ことや「それを私(親)は認めている」ことを、毅然とした態度で伝えることが大切なのだそうです。

 

 

通っている幼稚園や保育園にも伝えよう 子どもが、「制服のスカートをはきたくない」などと主張する場合は、園に相談するのがベスト。子ども本人が選択していることを伝えた上で、先生から他の園児にも話してもらうなど、対応をお願いしてみましょう。

 

 

幼児期から育みたい
多様性を認める心

 

近年、「多様性の時代」という言葉がよく聞かれ、性に限らず、さまざまな価値観や生き方を認めることが求められています。では、子どもが多様性への理解を深めるためにはどうすればよいのでしょうか。

増淵さんによると、日頃から家庭の中でさまざまなアイデンティティーについて話すのも一つの方法だそうです(下の「子どもが多様性への理解を深めるために」参照)。「いつも一緒にいる身近な大人の言葉が、子どもの心には一番響くものです。さまざまなアイデンティティーを受け入れるオープンな家庭環境を築くことで、将来、子どもが自分の個性について迷ったときも安心して自己表現できると思います」

子どもを“型”にはめるのではなく、ありのままを受け入れることは、自分や周囲の人を認める心を育むことにつながります。そのためにも、大人が多様性を理解した上で、子どもに接するなど、家庭でできることを考えてみませんか。

 

子どもが多様性への理解を深めるために 服やおもちゃの選択は子どもに任せる 子どもに服やおもちゃを選ばせるときに「こっちが女の子用、こっちが男の子用だよ」と言うと、凝り固まった性別意識が植え付けられます。子ども自身が「好き」「楽しい」と思えるものを尊重しましょう。 周囲の人の選択も認める 子どもが友達のことを「○○くんの靴は女の子みたい」などと報告してきたら、「○○くんはそれでいいんだよ」と率直に伝えましょう。 世の中にはいろいろな家族がいることを話す 全ての家に、パパやママがいるとは限りません。親がママ1人だったり、パパ2人だったり、祖父母や里親だったりする家庭もあることを、子どもに教えましょう。

 

 

子どもが思春期になっても親に気持ちを話せる関係を築くためには、ありのままの子どもを尊重する姿勢が大切です 尚絅大学短期大学部幼児教育学科准教授尚絅子育て研究センター長 増淵千保美さん

 

 

キャロママスタッフの感想 「大人が意識し過ぎず、子どもの好きな色やキャラクターを選ばせていいのだ!」と安心しました。性別や好みなどに関係なく、「どんなあなたでも大好きだよ」と認め、子どもの選択を一緒に楽しみたいです。また、育児に関わる人たちとも「互いを認め合う関係」をつくっていきたいと思いました。キャロママスタッフ豊田直子さん、稜久くん(2)

 

多様性を描いた絵本の紹介 「いろいろ いろんな かぞくのほん」文:メアリ・ホフマン 絵:ロス・アスクィス 訳:すぎもと えみ 出版社:少年写真新聞社 大家族だったり、お母さんが2人いたり、お金持ちだったり、仕事がなかったり…。家族の形に「普通」はない、ということを分かりやすく、肯定的に教えてくれる本です。「ジュリアンはマーメイド」文・絵:ジェシカ・ラブ 訳:横山和江 出版社:サウザンブックス社 女性たちがふんする美しい人魚に憧れる少年・ジュリアンと、彼の気持ちに寄り添い、そっと背中を押すおばあさんのお話。性別に関係なく、好なものを「好き」と言える世界の素晴らしさに気付けます。