2021.07.21

知って触って味わって野菜と仲良くなろう

 

 

野菜を楽しく食べるためには、まずは野菜のことをよく知ることが大切です。この夏、親子で野菜と触れ合ってみませんか。

 

 

 

楽しみながら
野菜と触れ合う経験を重ねよう

 

夏の太陽をたくさん浴びて育った野菜は、食欲をそそる鮮やかな色に加え、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、体の調子を整えてくれる栄養がたっぷりです。しかし、いざ食卓に並ぶと、苦手な子どもが多いですよね。そこで、子どもが自分から野菜を食べたくなるにはどうしたらいいのか、そのアプローチ法を野菜ソムリエ上級プロの持田成子さんに教えてもらいました。

「いきなり野菜を食べさせようとするのではなく“野菜に触れる経験”を重ねることが大切です。例えば、絵本に登場した野菜を、一緒に買いに行って調理します。関わりを持った分だけ野菜に興味を持ち、食べてみようという気持ちが湧いてきますよ」と持田さん。一緒に調理するなら「洗う」「手でちぎる」「型で抜く」「ピーラーで皮をむく」「包丁で切る」など、年齢に応じてできることからチャレンジしましょう。

他にも「野菜と仲良くなるためにできること」はたくさん。夏休みを利用して、野菜を育てながら日々の成長を観察したり、収穫体験に出かけたりしてみては。楽しみながら“野菜に触れる経験”を増やして、野菜と仲良くなりましょう!

 

「うちの子は野菜が苦手」と決めつけず、楽しみながら野菜との距離を縮めていってくださいね。女子栄養大学生涯学習講師 持田成子さん 日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ上級プロとして食育活動やレシピ考案など幅広く活躍中。vege-table代表。

 

 

野菜と仲良くなるためにできること 新鮮な野菜をそのまま味わう 日にちがたった野菜を食べて苦手になっている場合も多いので新鮮な野菜を生のままで食べて、素材本来のおいしさを、味覚や嗅覚を通して味わってみる例)トマトとミニトマトの食べ比べ(同じ種類でも甘みや酸味、食感に違いがあると気付く)調理する 自分で調理することで、食べてみたいという気持ちが湧く。また、加熱したり味付けしたりすると、苦手な野菜も食べられる場合があることに気付くと、野菜への苦手意識が軽減する例)トマトなど加熱による変化の大きい野菜を一緒に調理して、生の状態と食べ比べる 知識を増やす 本などで野菜の種類や、季節によってどんな野菜が育つかを調べたり、写真や動画を見たりすることで興味が湧く 育ててみる 自分で野菜を育て、日々の成長を観察し、世話することで、愛着が湧き、食物への感謝の気持ちが生まれる 収穫する 野菜がどのような状態でできているのかを知り、野菜への興味・関心が増す例)芋掘りをして土の中で成長することを知る 目にする機会を 増やす 子どもが苦手な野菜でも、定期的に食卓に並べ、親が「おいしいね」と言ってニコニコ食べている姿を見せることが、子どもの「食べてみよう」という気持ちにつながり、仲良し野菜を増やすことにつながる

 

 

 

子どもが野菜に興味を持つ工夫がいっぱい 野菜と仲良くなるレシピを実践

 

野菜と仲良くなるためにできることの中から「新鮮な野菜をそのまま味わう」「調理する」をテーマに、それぞれ「ベジパフェサラダ」「野菜のケーキすし」を持田さんに考案してもらいました。野菜と仲良くなれるかな?

 

べジパフェサラダ 生のまま、スティック状にカットして食べるサラダです。かわいく盛り付けると手に取ってくれやすくなります。まずはそのまま野菜本来の味を楽しんで。少し苦手な子には「ドレッシングを付けてみたらおいしいよ」と声掛けしてみましょう。切った野菜を観察する 「切ったら少しお水が出てくるね」「どんなにおいがする?」「キュウリの中は白いね」など、子どもと一緒に確かめて。❶アスパラガスはさっとゆでて、冷水で冷ましておく。❷ニンジン、キュウリ、ダイコンは、1㎝角のスティック状に切る。アスパラガスは根元の硬い部分を切り落とす。グリーンリーフレタスは洗って水気を切っておく。ミニトマトは洗ってヘタを取り、竹串に刺しておく。❸小さいボウルに、ヨーグルトとマヨネーズ、粒マスタードを入れて混ぜ合わせる。❹グラスにレタスを敷き、一番下にポテトサラダを入れて、野菜を好みで 挿していく。❺野菜には、好みでヨーグルトドレッシングを付けて食べる。おばあちゃんの家庭菜園で、トマトやジャガイモなどを収穫。娘は緑色のトマトに不思議そうに見ていました。私が「舞夏が取ったキュウリをママが切るね」と言うと少し得意げな表情の娘。レシピの写真を手本に、黙々とスティック野菜の盛り付けに集中していました。いつもは全く手を付けない野菜を、自分で口に運んでいました。

 

 

野菜のケーキすし 加熱したニンジンの甘みを生かしたおすし。ケーキをデコレーションするように型に重ねて詰める、型抜きや飾り付けをするなど、子どもと一緒に取り組みやすいレシピです。色の変化を楽しむ ホウレンソウをゆで、水にさらす様子を見せ、緑色が鮮やかになる変化を楽しみましょう。❶米を研いで炊飯器に入れ、水を加えた後、大さじ2の水を減らす。❷皮をむいてすりおろしたニンジンを①に入れる。塩とオリーブオイルを加 えて軽く混ぜ、炊飯する。❸炊き上がったご飯に、すし酢を入れてうちわなどであおぎながら混ぜてすし飯を作る。❹ボウルに卵、砂糖、酒、塩を入れてよく混ぜる。フライパンにサラダ油を少々入れ、卵液を入れて、箸で混ぜながらいり卵を作る。❺ホウレンソウはゆで、水にさらし、よく絞って細かく切っておく。❻セルクル型に③のすし飯の1/3 を入れてスプーンで広げて、軽く押す。その上にホウレンソウを広げる。❼1/3くらいのすし飯を入れて、スプーンで広げて、油を切ったツナをのせる。❽残りのすし飯を入れて、スプーンで広げて軽く押し、いり卵をのせる。ゆでたブロッコリーや好きな型で抜いたハムやチーズを飾る。 料理が大好きな彩人は、夢中で型抜きし、おすしをカップに詰めていました。ホウレンソウをお湯に入れる様子を見せると「緑がキレイになったね」と目を見開いて驚いていました。すし飯は、ニンジン特有のにおいはなく、ほんのり甘みを感じる味でおいしかったです。中村 彩人くん(3)

 

 

 

おすすめ野菜絵本 やさい 作:平山 和子 福音館書店 990円 畑で育まれる野菜たちの力強い姿が、八百屋さんに並んでいる見慣れた姿と交互に描かれます。野菜の力強さと美しさを丁寧に描いた、野菜を食べることが楽しくなる絵本。 いろんなおやさいどこになる?作:きのした けい 絵:阿部 真由美 コクヨ 1320円 身近な野菜の実り方を楽しく学べる、しかけ絵本です。みずみずしく美しい、野菜のイラストとやさしく問い掛ける文章で読み聞かせにもおすすめ。こども栄養学 どうして野菜を食べなきゃいけないの? 監修:川端 輝江  絵:せのお しんや 新星出版社 1650円 親子で一緒に学べるやさしい栄養学。「苦いピーマン、どうして食べなきゃいけないの?」「おやつだけ食べてちゃダメなの?」といった子どもたちの素朴な疑問に答えます。

 

 

「うちの子は野菜が苦手」と決めつけず、楽しみながら野菜との距離を縮めていってくださいね。女子栄養大学生涯学習講師 持田成子さん 日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ上級プロとして食育活動やレシピ考案など幅広く活躍中。vege-table代表。