2019.05.15

「地域の交流の場」としての認識を

「子ども食堂」は地域住民などが主体となって、無料または低額で食事を提供するコミュニティーの場です。日本で大きな課題になっている「見えない貧困」から子どもを救うため、2012年に東京都で始まった取り組みが全国に広がっています。

 

県内では、熊本地震以降、開設数が増加し、熊本市を中心に50カ所以上で開かれています。子ども食堂の研究をしている吉津先生によると、地震という地域のつながりの大切さを体感した出来事が、子ども食堂の開設を後押しした可能性があるそうです。最近は、「子ども・地域食堂」と呼ばれることも多く、子どもの孤食防止だけでなく、「世代間交流の場」としての役割が期待されています。

 

しかし、地域住民に活動が浸透しておらず、近くに子ども食堂があることを知らない人は多いといいます。また、「貧困対策」というイメージが際立ち、利用しづらいとの声もあるとか。「子ども食堂に行くことが親の心の“かせ”にならないよう、貧困の子もそうでない子も、親も、高齢者も、みんなにとっての居場所として認識されることが大切」と吉津先生。

 

また、今後の課題・展望としては、「各食堂が地域と連携し、食堂を必要とする子どもたちへ情報を発信することが求められます。子ども食堂を始めたい人を発掘・支援し、将来的には1校区に1カ所開設されるのが理想」と話していました。

 

 

 

☆県内の子ども食堂一覧(2018年12月現在)は、県のホームページ(「熊本県子ども食堂」で検索するか、https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_26470.html)から確認できます。開催状況や詳細は各団体に問い合わせを。

 

熊本市南区八幡にある「こどもキッチン・ブルービー」。
3月に行われた子ども食堂の様子を取材し、
開設への思いなどを代表の松枝清美さんに聞きました。

 

子どもだけでも安心して来られる「第3の居場所」

「こどもキッチン・ブルービー」は、2016年2月から、毎月子ども食堂を開いています(熊本地震で同年4月は中止)。食材は、県内の生産者や企業、生活協同組合からの寄付のほか、近所の人が家庭菜園で作った野菜、贈答品など、活動に賛同するさまざまな人の支援で賄われています。

 

代表の松枝さんは、献立の考案や前日の仕込みを担当。当日は調理をしたり、訪れた人と対話したりするそう。また、ボランティアスタッフも調理を行うため、「作る人によって味付けが違いますが、かえって子どもたちは飽きないみたいです」と、飲食店とは違う“家庭の味”を大切にしています。

 

もともと、「子どもの孤食や偏食を減らし、行き場を増やしたい」という思いでブルービーを始めた松枝さん。最初は地域住民から物珍しい目で見られたこともありましたが、小学校にチラシを配ったり、自治会に入ったりして顔を覚えてもらい、今では、近隣の小学生や高齢者、子ども連れのママ、パパなど、さまざまな人に利用されるようになったそうです。

 

食堂を利用した人の中には、活動に興味を持ち、ボランティアスタッフとして携わる人もいるとか。「調理が苦手な人は、子どもたちの相手をするなど、できることをしてもらいます。子ども食堂に携わる人が増え、つながっていくことがうれしい」と松枝さんは話します。

 

食堂以外の日はコミュニティースペースとして開放されるブルービー。小学生が宿題を持ち込んで過ごすこともあり、子どもたちの居場所として定着しつつあるようです。「子どもが親や学校の先生以外の大人と話せる“第3の居場所”として、一人でも安心して来てほしいです」

 

ブルービー開始から3年たち、次のステップとして、寄付で集まった食材をひとり親家庭や生活困窮者に配給する「フードパントリー」の構想も考えているという松枝さん。今後の活動に注目です。

 

 

 

 

「私たちは子ども食堂を応援しています!」

くまにちキャロットは本年度、子ども食堂の活動を支援します。