「被災して制服がない」の声に決心
4人の子育てをしながらネイリストの資格を取り、自宅でサロンを開いていた裕美さん。2016年の熊本地震後、「子どもの制服を紛失し、新品を買う経済的余裕がない」という母親たちの声を聞き、「愛着のある制服を捨てられない人と、家計を少しでも抑えたい人たちをつなぎたい」との思いで、学生服専門のリユース店を開店。自宅で制服の買い取りや補修、販売などを始めました。
口コミで店の情報が広がり、買い取りや寄付を希望する人が増え、今では熊本市内の幼稚園・保育園~高校を中心に4500点もの品ぞろえ。寄付品は、ひとり親家庭やきょうだいが4人以上いる家庭など、経済的に困っている人に譲っているそう。
「きちんと品物の状態を確認し、修復可能な物のみ、消毒や補修、洗浄、漂白などの工程を経て店頭に出します」と裕美さん。持ち主の名前も丁寧に消し、双方が気持ちよく利用できるように努めているそうです。
子どもたちの協力に感謝
瀬川家では、長男と次男は就職して巣立ち、昨年5月、第5子となる浬世くんが誕生。裕美さんが店を一旦閉めて浬世くんを保育園へ迎えに行った後は、長女と次女が弟の世話をしてくれるそう。「閉店まで、子どもたちの様子を見ながら店に立ちます。娘たちの協力なしには成り立ちません」と、感謝の気持ちを表す裕美さん。その分、休日は釣りやバーベキューなど、家族の時間を大切にしているそうです。
裕美さんは5人の子育てを振り返り、「子どもの年齢も違えば、個性も悩みもさまざま。おかげで、多少のことでは動じない精神が鍛えられました」と笑います。夫も、子どものよき相談役になり、その存在は大きいそうです。
自分が楽しめることで仕事をするのがモットーであり、「出会いや経験が力になる」と話す裕美さん。ママカーラのSNSでは、制服の改変や学年の指定色などの情報交換ができ、心強い〝ママネットワーク〟になっています。裕美さん自身の子育ての経験を踏まえた情報発信も好評で、現在1800人以上の母親が登録しています。裕美さんは「ママからママへ、子どもの成長の証しを受け継いでいけるよう、このご縁を大切にしたい」とほほ笑みます。