子育ての経験を生かした講義
尚絅大学短期大学部武蔵ヶ丘キャンパス幼児教育学科の助教を務める菜つみさん。幼稚園教諭や保育士を目指す学生たちに、子どもの保健や障がい児保育などを教えています。
「私は長男の優知を幼稚園に、次男の藍を保育園に預けています。幼稚園教諭や保育士の方たちは、息子たちに愛情を持って接し、私の子育ての悩みに丁寧に答えるなど、いろんな場面で支えてくださっています。私も学生一人一人と向き合い心を配ることで、心が温かい保育者を育てたいと思います」
講義の内容は、新生児の沐浴やオムツの替え方など菜つみさんが子育てで経験したことも多く、自身の経験談を交えて教えることもあるそうです。「子どもが急に熱を出したり、不機嫌になったりと、想定外だった出来事も伝えています。すると学生たちは、自分の幼い頃の出来事を思い出し、子どもの目線に立った接し方をイメージしやすいようです」
また親としての立場から、保護者への接し方などを学生たちにアドバイスすることも。「例えば、赤ちゃんの体重が成長曲線から少し外れていると、親はとても不安になります。そんなとき、教科書に書いてある通りに『問題ないですよ』と言うだけでなく、『心配ですよね』と、まずは悩みに共感し、保護者の気持ちに寄り添えるようになってほしい」と話します。
子どもと2人きりの時間を大切に
菜つみさんは大学院時代から、障がい児の兄弟姉妹とその親を対象に、親子遊びを取り入れたグループワークを行ってきました。障がい児の育児に追われる親に「もっと甘えたい」と思う兄弟姉妹と、その気持ちに応えたい親との交流を深める実践的研究です。
その学びを踏まえ、菜つみさんは優知くんと藍くんそれぞれと、1対1で過ごす時間をつくるようにしています。早起きの優知くんとは朝食の準備を、藍くんとは寝る前に歌遊びをするそうです。「兄弟2人と一緒にいると、親の気を引こうと2人がふざけて、私が怒ることも多いです。でも2人きりで息子と向き合うと、優知のおしゃべりの上達や、藍の感情表現の豊かさなどの成長に気付き、自然と笑顔になれます。私が笑うと子どもも笑顔になるんです」
仕事でも子育てでも、相手と正面から向き合うことを大切にしている菜つみさんの姿勢が、子どもたちの笑顔につながっています。