地域の人たちが集う休憩所「水俣市ふれあいセンター」。運営するのは、一般社団法人みなすまいる代表の嶽村幸菜さんと、夫・陽介さん、母・北角暁美さんです。
嶽村さんが休憩所内に「すまいる食堂」を開設したきっかけは、土曜の昼に、カップ麺や冷凍食品を持った小学生が休憩所を訪れたことでした。「子どもたちの孤食が増えてるのではないか」と思った嶽村さんは昼食を作って、来所した子どもたちと一緒に食べるようにしました。すると、一人暮らしの高齢者も「一緒に食べたい」と加わるようになったそうです。
嶽村さんは「みんなで楽しく食事ができる場をつくりたい」と、2017年から、月に1回食堂を実施。口コミやSNSでの情報発信で、毎回40〜50人が利用し、食材を提供する地域住民も多いとか。利用者同士が仲良くなる姿を見ると地域の拠り所としてのやりがいを感じるそうです。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月から3カ月間休館。その間も、嶽村さんたちは「密になるのを避けつつ、少しでも地域の人の自粛によるストレス軽減になれば」と、寄付された食材を必要な人が受け取れる拠点「フードパントリー」を開設したり、休憩所の外に間隔を空けて椅子を並べ、簡易の休憩スペースを設けたりしたそうです。
6月からは休憩所を再開。訪れた地域の人は、うれしくて涙ぐむ人もいて、地域に求められていることを実感した嶽村さん。
今後は人数を制限してイベントを開催するなど、徐々に活動を増やしていくそうです。食堂も再開に向け、利用者同士の距離を保ちつつ、一緒に食事している雰囲気を感じられるようにレイアウトを工夫するなど、準備を進めています。
「この3カ月間、自分たちの役割と、人のつながりの大切さを再確認しました」と嶽村さんは言います。「今後も変わっていく状況の中で、地域の人たちが“決して1人じゃない”と思えるよう、私たちにできることを考えていきたい」と思いを定めました。
【地域食堂・こども食堂 すまいる食堂】
主催/一般社団法人みなすまいる
場所/水俣市栄町1-6-18
☎0966(84)9909
開催日時/第2土曜11:00〜14:00
※春・夏休み期間中は第2・4木曜の11:30~14:00
利用条件/どなたでも
(大人300円、子ども300円、幼児無料)予約不要
※記事は取材当時のものです。実施状況は主催団体に問い合わせてください。