働くパパママの姿をリポートする、「らしく」。
山鹿市菊鹿町で夫と共に農業を営みながら3人の子どもと暮らす、市原奈穂子さんを紹介します。
丸っこい「おむすび」がつなぐ人や作物への愛情
健康支援を志し、たどり着いた就農
「収穫した米でおむすびを握っている時が一番うれしい」。市原奈穂子さんは、山鹿市菊鹿町で米とワイン用ブドウの品種シャルドネ、クリ、渋柿を夫の伸生さんと2人で生産しています。
中学時代から食に興味があった奈穂子さん。大学卒業後は管理栄養士の資格を生かして東京都の病院に勤務しました。「もっと食で人の健康を支援したい」と休日は東洋医学などを学び、農業体験にも参加するように。当時、出会った伸生さんの「いずれ地元で農業をしたい」という思いに共感し、結婚と同時に熊本へ。2人とも農家育ちではありませんが「不安より農業に携われる喜びの方が強かった」と言います。
米農家の手伝いからスタートした2人。次第に手伝っていた米農家の人々に本気度が伝わり、4年後にその1人から土地を譲り受け、「あいがもん倶楽部」の名で本格的に農業を始めました。
何事も真面目に向き合いたい
農業は土作りから収穫まで、コツコツやらないと進まない地道な作業ばかり。収穫後も乾燥させたり、脱穀したりと、すぐに終わる仕事はほぼありません。「就農前は米の背景も考えずにご飯を口に運んでいました」。そこで、作り手の思いや米のおいしさを伝える機会をつくろうと、収穫した米で握ったおむすびを振る舞う「おむすびの会」を県内外で開いています。「作り方を教えてほしい」と言われるほど奈穂子さんのおむすびは評判です。現在は東北や関東、関西などからの農作物の定期購入も増えています。「米作りに対する姿勢を信頼してもらえていると思うと、やりがいがあります」
子どもたちも畑仕事や販促イベントの袋詰めを手伝うなど、農作物の背景を知る機会が日常的にあります。「働く姿を子どもに見せることは、会社勤めではなかなかできないこと。良い社会勉強になっているようです」とにっこり。「子どもにもお客さんにも、大切にしていることは言葉にせずとも感覚的に伝わっていると感じます。だからこそ子育てや農業含めて何事も真摯に向き合っていきたい」
奈穂子さんの丸っこいおむすびには、人や作物に対する真っすぐな愛情が詰まっています。
起床、朝食準備
小学校への通学準備、朝食
小学生2人を送り出す、保育園への登園準備
保育園に送る
田畑へ移動
畑仕事ではそれぞれの持ち場で作業するので、昼食時は夫婦で会話できるひとときです。
帰宅・昼食休憩
再び田畑へ
保育園へお迎え
夕食の準備など家事、夕食
みんなでお風呂 、子どもたちと遊ぶ
絵を描いたり、折り紙をしたり、思い思いに楽しんでいます。
子どもと一緒に就寝
プロフィル
いちはら・なほこさん(38)
栃木県出身。2012年、結婚と同時に夫の伸生(のぶき)さん(36)の出身地である熊本へ。新規就農の助成を受けながらアイガモ農法の米生産者を手伝い、16年に本格的に就農。現在、夫と聡祐(そうすけ)くん(10)、早紗(ささ)ちゃん(7)、旬ノ祐(しゅんのすけ)くん(4)と5人暮らし。