働くパパママの姿をリポートする「らしく」。
中学・高校の事務職員として働きながら2人の子どもを育てる熊本市の榮礼子さんを紹介します。
学校事務の経験を子どもの居場所づくりに生かしたい
礼子さんは熊本市内の私立中学・高校で事務をしています。
人と接することが好きなため教師になるのが夢でしたが、特技の書道を生かせる教員の募集がなく、大学卒業後は市内で契約職員として大学事務を4年間務めました。
子育てを重視し夫婦で転職
しかし礼子さんは夢を諦めきれず、結婚・出産後に夫・佑樹さんの転勤先の広島県で、通信制高校の教員になりました。
礼子さんにとって、目標に向かう生徒を間近でサポートする仕事は大きなやりがいでしたが、自分の子どもが体調を崩したり、時間外の仕事が入り保育園のお迎えの時間がギリギリになったりして、子育てと仕事の両立に苦戦したそうです。
ある日、熊本から来ていた実母に病気の希弥ちゃんを預けて出勤したところ、希弥ちゃんが熱性けいれんを発症。
礼子さんは授業中で母からの着信に気付けなかったそうです。希弥ちゃんが病院で一度も「ママ」と言わなかったと母から聞き、子どもに我慢をさせていたことに気付きました。
その後、「落ち着く環境で子育てしたい」と夫婦で意見が一致し、熊本の実家の協力も得られたため熊本で転職することにしました。「決断に迷いはなかった」と話します。
仕事の幅が広がりやりがい
礼子さんは帰熊後、縁があり国立大学で事務のパートを始めました。毎朝、希弥ちゃんとゆっくり話せる時間をつくれるようになった他、佑樹さんも定時で仕事を終えるよう努力したことで、心に余裕を持って子育てができるようになりました。
夫婦共に「子どもがやりたいことに挑戦できるよう見守る」という姿勢を大切にしているそうです。
佑馬くんの出産後は、学校法人に正職員として転職。礼子さんは、学納金の管理などを担当しています。徐々に仕事の幅が広がり、学校説明会などの一大行事にチーム一丸となって取り組むこともあり、成功した時の達成感が大きなやりがいになっています。
また、礼子さんは生徒や保護者から学校生活の相談を受けるなど、大切な役割も担っています。「通信制高校で働いていた時、学校に足が向かなくなる生徒がいました。教師と生徒という距離感が難しく、腹を割って話せなかったことが心に引っかかっています」。
これらの経験から、礼子さんは定年後に「寺子屋」を構え、「課題を抱える子どもに勉強や書道を教えたり、悩みを聞いたりしてサポートしていきたい」と言います。温かな思いが子どもたちの笑顔につながっていきそうです。
起床、朝食・弁当作り
子どもたちを起こし、朝食
希弥ちゃん登校
毎朝、佑樹さんがバス停まで送ります
佑馬くんを自転車で幼稚園まで送った後、出勤
始業
終業、佑馬くんを迎えに行き帰宅
希弥ちゃんの塾までお迎え
帰宅後、夕食準備、夕食
入浴
佑樹さんが子どもたちとお風呂に入っている間に片付け
子どもたちと就寝
プロフィル
さかえ・れいこさん(35)
熊本市出身。尚絅大学で教員免許を取得。卒業後は県内の大学事務や県外の通信制高校の教員を経験。2019年、帰熊し国立大学の事務職員としてパート勤務。21年から学校法人「鎮西学園」の正職員。14年、佑樹さん(32)と結婚。16年に長女・希弥ちゃん(7)、20年に長男・佑馬くん(4)を出産。