子どもにお手伝いをしてほしいけれど「何から始めればいいか分からない」という声をよく聞きます。そこで、子どもが「今興味を持っていること」をお手伝いのきっかけにする“お手伝い遊び”を紹介します。うまくいくと、子どもと一緒に遊ぶうちに家事もはかどり親子でハッピーになれますよ!
まずは子どもの様子を観察 「興味・発達の芽」見つけて
「幼児期のお手伝いは遊びの延長線上にあり、親など周りの人がすることに興味を持ち、まねることから始まります。子どもにお手伝いをしてもらいたいときは、まず、子どもが遊ぶ様子を観察し、何に興味を示しているか(=興味の芽)を探ることから始めましょう」と、尚絅大学短期大学部幼児教育学科教授の増淵千保美さん。例えば、料理に興味を持ったら、野菜を洗う、ピーラーで皮をむく、包丁で切るなど段階的に行うといいそうです。また、自分の物と他の人の物の区別がついたら洗濯物を仕分けてみるなど、発達段階(=発達の芽)に応じた“お手伝い遊び”を選びましょう。
今回は、キャロットスタッフ親子3組が挑戦し、増渕さんにアドバイスをもらいました。ママたちは「まだ小さいのに靴下の柄そろえができてびっくり!」「ナイフをどう動かせば食材が切れるかを工夫していて感心しました」など、子どもの成長を実感できたようです。
「子どもたちは暮らしの中で遊び、試行錯誤しながら自分なりのコツをつかんでいきます。親は口出しや手出しを控え、見守ることが大切」と増淵さん。「お手伝いの後には『ありがとう』と伝えることも忘れずに。子どものやる気の源になりますよ」
幼児期のお手伝いの進め方
- 子どもの「興味・発達の芽」を見つける
- (1)に合うお手伝い遊びを決める
- やり方を子どもに示す
- 実践する※危ないとき以外は口出ししない
基本的に子どもの様子を近くで見守り、求められたら手助けする
教えてくれたのは
キャロットスタッフ実践レポート
[お手伝い遊び]キュウリの漬物作りに挑戦!
挑戦したのは
友愛ちゃんの興味・発達の芽
姉の乃愛ちゃんがキュウリを切る様子をじっと見つめていた
お姉ちゃんの見よう見まねでキュウリ切りに初挑戦した友愛ちゃん。初めはキュウリが転がりうまくいきませんでしたが、左手でキュウリを押さえつけ、右手で刃を垂直に当てると成功し、満足げでした。
出来上がったキュウリの漬物を実食 ! フォークがうまく刺さらず、左手でキュウリを一切れ握って動かないようにして、フォークで刺します。このように試行錯誤することで手指が発達し、道具を上手に使えるようになります。
お手伝い遊びを終えて〜ママより
自分なりに工夫している様子に感心しました。私が口出しすると嫌がるのですが、姉が教えるとすんなり受け入れられるようです。今後も姉のすることに興味を示したら、一緒にチャレンジさせてみようと思います。
Advice
2歳の頃は「自分でやりたい」時期なので、ママの口出しを嫌がることが多いようです。年の近いきょうだいがいると、下の子は何でも見よう見まねでできることを増やしていきます。調理のお手伝いはたくさんのことを並行して進める段取り力が身に付きます。この段取り力は、やがて計画的に物事を進めていく力にもつながっていきますよ。そのような観点からも調理はお勧めのお手伝い遊びです。
[お手伝い遊び]靴下を箱にポイッ!
挑戦したのは
凛ちゃんの興味・発達の芽
お散歩中に、小石を見つけて道端の排水溝に何度も落として遊んでいた
「1歳児も楽しみながらできる簡単なお手伝いを探しました」と知世さん。ちょうどポイポイブームだった凛ちゃんにはぴったりのお手伝いだったようです。
お手伝い遊びを終えて〜ママより
何回かするうちに、かごを出すだけで、靴下を自分から入れていたのにはびっくりしました。1歳なりに自分の仕事と認識したのかもしれません。これをきっかけにおもちゃなどの片付けにも発展できそうです。
Advice
凛ちゃんは小石を穴に落として遊んでいたのがきっかけだったように、この時期の子どもは“ポットン遊び”を好むことが多いようです。同じ柄をそろえる時にママが言葉を掛けながら一緒に楽しく行っているところがとても良いですね。興味のアンテナがあちらこちらにある時期なので、1つのお手伝い遊びを続けさせようと無理をしないようにしましょう。
[お手伝い遊び]お米をといで炊いてみた!
挑戦したのは
彩人くんの興味・発達の芽
水遊びが大好きで、お米とぎを見て「やりたい」と言った
希未さんがお手伝いに関する本を読んだことをきっかけに、彩人くんのお手伝い遊びがスタート。1カ月間に4回ほどお米とぎをしたそうです。
自分が炊いたご飯を食べて満面の笑みに。家族からの「おいしい」「ありがとう」がうれしい様子。
お手伝い遊びを終えて〜ママより
最初に「お水が透明になるまでお米をゴシゴシしてね」と説明したので、何度も水を替えしっかりといでくれました。食事の時「彩人が炊いたご飯はおいしいね~」と家族みんなで絶賛すると、本人もうれしそうにしていました。今では「彩人が炊いたおいしいご飯が食べたいな~」と言うと進んでお米とぎをしてくれます。
Advice
4、5歳は、自分がママやパパから好かれているのかと気になり出す時期です。家族から感謝されることで自分の存在意義を見出します。ポイントは家族みんなの前で褒めること。家族から認められた自分を感じ取り、その積み重ねが自信につながります。小学生になると役割意識が芽生え、家事の戦力になってくれます。この調子で続けていけるといいですね。
まだまだあるよ! お手伝い遊び実例リスト
興味・発達の芽
続けるとこんなプラス効果も
自信がつく
これまで親にやってもらっていたことを自分でできるようになると自信につながります。
工夫することを覚える
お手伝い遊びに失敗はつきもの。どうしたら自分の納得いくようにできるのか、試行錯誤しながら取り組むことで工夫する楽しさを覚えます。
自己肯定感がアップする
子どもは身近にいる大好きな大人から「ありがとう」と感謝されることで、みんなの役に立っている自分を実感し、自己肯定感が増します。
幼児期に「お手伝い遊び=楽しい」という印象が残ると、成長とともに増えてくる自分ができる家事に進んで取り組んでくれるようになるかも。
おすすめの本
まねしんぼう
作・絵 みやにしたつや
岩崎書店 1100円
兄のすることを何でもまねする妹が登場し「子どもはまねして学ぶこと」をユーモラスに教えてくれます。親子で読んで「まねしんぼうする?」とお手伝い遊びのきっかけにして。
みんなの自己肯定感を高める子育て言い換え事典
著 石田勝紀、カワグチマサミ
KADOKAWA 1540円
お手伝い中のわが子についつい言ってしまいがちな「違う」「ダメ」などのネガティブワードをポジティブに言い換えた実例を漫画で分かりやすく紹介。読んで即実行あるのみ!