働くパパママの姿をリポートする、「らしく」。
美容室を経営する傍ら、無料で遊べるキッズスペースを運営している岩﨑充洋さんを紹介します。
今やらないと後悔する
みそ作り教室で知った発酵の魅力
子育て中の親の憩いの場をつくりたい―。熊本市内で美容室を6店舗経営する岩崎充洋さんは、誰でも無料で利用できるキッズスペース(保護者同伴)と美容室利用客限定の託児サービスを兼ね備えた「アオゾラキッズラボ」を運営しています。広々としたフロアには、走り回れる畳敷きのスペースや知育玩具などが並び、子どもの好奇心をかき立てる空間が広がります。
充洋さんは美容師時代、女性客の「出産したら半年は美容室に行けない」「子連れだと他の利用客に迷惑がかかる」といった声を聞き、キッズスペースの必要性を感じながらも、資金面の問題から手を付けられずにいました。そのような思いを抱えたまま2020年にコロナ禍に突入。客足が減り、会社存続も危ぶまれましたが、その危機的な状況が「今やらないと後悔する」と充洋さんを後押ししました。
クラウドファンディングで集めた約130万円の資金を基にアオゾラヘア本店のビル2階を全面DIYリフォームし、21年にキッズラボをオープン。「子ども連れのママから『行き場のないコロナ禍、子どもが伸び伸び遊べるキッズラボに救われた』と言われた時にはうれしくて泣きそうになりました」。キッズラボをきっかけにアオゾラヘアを利用するパパやママが増え、売り上げが回復。キッズラボの運営も継続できているそうです。
家族の時間を増やしたい
コロナ禍で、自宅で過ごすことが増えた充洋さん自身もワンオペ育児の大変さを痛感。それ以前は、朝から深夜まで仕事中心の生活で、子育ては妻任せだったといいます。キッズラボで、子育て中の女性たちの声を見聞きする機会が増えたことも手伝い「家族と過ごす時間を増やしたい」と美容師をいったん退くことを決断。現在は経営に専念し、妻の一人時間をつくるため娘2人と出かけるなど、子育てに積極的に関わっています。「15年務めた美容師を退くことは、長年の指名客への裏切りになるのではという葛藤もありましたが、一人一人に直接話し、信頼できるスタッフに託すことで納得してもらえました」。わが子の成長の瞬間に立ち会える時間が増え、子育ての喜びを実感しているそう。
「子どもにとって一番良い教育は幸せな親の姿を見せること。プライベートでも、仕事でもそれを実践できる親でありたい」と穏やかな笑顔で話してくれました。.
起床、趣味の読書タイム
経営や子どもの教育に関する本を読んでいる
犬の散歩(1匹目)
犬の散歩(2匹目)
朝食
次女を幼稚園へ送迎
出勤、メールチェック
キッズラボ開店、美容室の戦略立て
キッズラボ閉店
事務作業、スタッフ教育、営業後ミーティングなど
帰宅、夕食、お風呂
子どもと就寝
プロフィル
いわさき・みつひろさん(37)
上天草市出身。九州美容専門学校卒業後、熊本市内の美容室に就職。2010年、恵理さん(38)と結婚。13年、友人3人とヘアサロン「アオゾラヘア」をオープン。同年、長女・菫ちゃん(9)、16年に次女・夢ちゃん(6)誕生。上乃裏エリアに美容室を6店舗展開。21年6月、無料のキッズスペース「アオゾラキッズラボ」を本店ビル2階にオープン。木~日曜は保育士が常駐し美容室利用客の託児も行う。現在は、美容師を退き、経営に専念。