子どもの心と体の成長に欠かせない幼児期の運動。しかし、「コロナ禍による休園が続き、体を動かす機会が減った」「公園のルールでボール遊びができない」といった声を聞きます。今回はキャロットスタッフ親子が、おうちでできる“運動遊び”にチャレンジ。子どもの習い事選びのポイントも紹介します。
3〜6歳で身に付けたい 36の基本動作
「36の基本動作」とは、子どもの体力低下の問題を長年研究してきた発達・発育の専門家である中村和彦さんが提唱した運動の概念です。人の基本的な動きを36種類に分類。それらを幼児期からバランスよく身に付けることで、健康的な心と体を育むといわれています。
子どもが自然に楽しめるサーキット遊びがおすすめ
幼児期にいろいろな動きを習得することで、体力や運動能力アップにつながるといわれています。そこで、家の中でも楽しめる運動遊びについて、キッズ総合スポーツ支援団体Fun&Fitの緒方保美さんに教えてもらいました。
今回、キャロットスタッフ親子が楽しんだのは、“サーキット遊び”。幼児期に経験したい36の基本動作を大きく平衡系・移動系・操作系の3つに分け、それぞれの中から3つの動きを選び、周回しながら1つずつ挑戦しました。
「今から探検に出かけるよ~!」。緒方さんの声掛けとともにスタートすると、最初は緊張の面持ちだった山内英ちゃんの表情が徐々に変わってきました。1つの動きをクリアするたびに「まだやりたい!」と意欲満々です。「サーキット遊びは、子どもができる動きをいかに楽しめるかが大切」と緒方さん。「成功体験が増えることで自己肯定感も高まります。楽しい雰囲気をつくってください」
教えてくれたのは
スポーツの秋!おうちで楽しく体を動かそう!
[平衡系]体のバランスを取る動き
姿勢を保つ力が付き集中力もアップ
わたる
畳んだタオルを数枚並べ、その上を渡ってみるよ。タオルを置くことで足元が不安定になるので、よりバランス感覚が鍛えられます。
さかだち
腕立て伏せをするようなスタイルになり、少し高さのある台の上に足を乗せて5秒ほどキープしてみよう! 慣れてきたら片脚を上に上げてみて。
まわる
膝の内側にぬいぐるみなどを挟んで、落とさないように注意しながら前に回ってみよう!
POINT
バランス感覚を鍛えることで転びにくくなり、けがの防止につながります。
詳しくは動画をチェック!
[移動系]体を移動する動き
全身の筋力と空間認知力が育つ
はしる
紙コップやぬいぐるみなどを子どもの足が入るくらいの間隔で15個ほど置いて、その間を走ってみよう! 判断力の向上にもつながります。
はう
バスタオルやビニール袋の両端を敷き布団などで固定し、その下を腹ばいで移動しよう! 腕の力が鍛えられ、投げる力が備わります。
のぼる
ママやパパにしがみ付いて胸の前まで登ろう! 握力を鍛えられます。
POINT
体の重心を移動させることは、体幹を強くすることにつながります。
詳しくは動画をチェック!
[操作系]物を使う、扱う動き
運動神経を左右する握力が身に付く
つむ
積み木や絵本など身近にあるものを積んでみよう。
ひく
布団などに縄跳びを結び付けて、引っ張ってみよう。
なげる
段ボール箱に向かってボールを投げ入れてみよう。
POINT
物を持つことで握力や手先の器用さが向上。道具を使うと集中力や創造性が高まります。
詳しくは動画をチェック!
[番外編]親子のスキンシップにもなる1歳児の運動遊び
全身を使った動きが少しずつできるようになる1歳児。ここでは現代の子どもたちに特に必要とされている体幹を鍛える遊びと、けが防止につながる遊びを紹介します。
かけっこの訓練にもなる「トンネル遊び」
布団の上で大人が足を伸ばして座り、膝を曲げてトンネルを作ります。その下を子どもにハイハイでくぐらせます。不安定な布団の上で体をコントロールすることで体幹が鍛えられ、歩く、走るといった動作が安定します。
けが防止につながる「ゆらゆら遊び」
大人が足を伸ばして座り、膝の上に子どもを乗せます。子どもの両脇の下を両手で支え、親子で左右に体を傾けてゆらゆらと揺れます。傾いた時にとっさに手を出す感覚を養うので、けが防止につながります。
子どもの運動能力を上げる 習い事選びのポイント
せっかく習い事をさせるなら子どもの運動能力を高めるものを選びたいですね。子育て&メンタルトレーナーで3児の父、キャロットスタッフでもある横山紀和さんに、そのポイントを聞きました。
子ども自身が楽しむことが一番
運動が得意になるには、体力以外に、自分で考える力やリズム感を身に付けることも大切です。そこでおすすめなのが「サッカー」「水泳」「ピアノ」です。サッカーは、いつ、どんな行動をどうやってするかなど自分で判断するシーンが多いので、考える力が身に付きやすくなります。水泳は、陸上ではあまり動かさない両手両足の筋肉を使う全身運動なので、体のバランスを整えるのに最適です。そして手先を使うピアノは、空間認知力や想像力が高まり、どのスポーツにも必要なリズム感を養えます。
とはいえ、幼児期は何事も本人が好きなことが一番。子どもの性格や個性を尊重し、子どもが楽しめる経験をたくさんさせてください。
POINT(1)子どもの性格や得意なことをチェック
一人遊びと集団行動ではどちらが好きか、手と足ではどちらが器用なのかなど子どもの性格を考えると習い事を絞ることができます。
POINT(2)子どもの意思を尊重する
親の理想を押し付けてしまうと、子どもの自主性が育ちません。個性を伸ばすという意味でも、子ども自身が「楽しい」と思えるものを選ぶことが大切です。