
子どもが小さいうちはお金そのものに直接触れる機会は少ないものの、家庭内での遊びや日常生活から「おかねの価値」を少しずつ知ることができます。親子で楽しく取り組める「おかねの教育」のアイデアなどを紹介します。
はじめに
教育現場で必須となってきている「おかねの教育」
お金を通じて社会の仕組みや働き方などについて、将来自立して生活できるよう社会の知識や判断力を身に付ける教育を「金融教育」といい、年齢ごとに学習する内容が分かれています。
2020年から小学校で金融教育が行われるようになりました。また、22年から高校でも資産形成授業が必修化。背景には、成人年齢が18歳に引き下げられ契約当事者が低年齢化していることから、消費者トラブルが増加し、金融の知識や判断力が必要とされることなどが考えられます。
<01>幼児期に伝えたい「おかねの三つの役割」
お金の役割は大きく分けて三つあります。
- 「使うことで欲しい物を買うことができる(買い物)」
- 「貯(た)めることで、あとで使うことができる(貯金)」
- 「分けることで人のために使うこともできる(募金・寄付)」
こういった役割について幼児期から説明することはとても重要です。また子どもが「お金はどこからくるの?」などと興味を持つことで、「お父さんやお母さんが働いているから、お金をもらっているんだよ」とお金に対する価値や働く意味を教えるきっかけにもなります。
<02>遊びからお金の概念を楽しく学ぼう
とはいえ、今の子育て世代は学校で金銭教育を受けていないので、子どもに教えるのに不安を感じることもあるでしょう。そこでお勧めなのが、「お店屋さんごっこ」などの遊びを通じてお金の基本的な概念を楽しく学ぶ方法です。おもちゃや手作りのお金を使って、「物を買う」「お金を払う」などを体験できます。
また、金融機関や自治体などが主催する親子向けの金銭教育のワークショップに参加してみるのもいいでしょう。そこでしか使えない通貨を使った「お買い物」や「ポイント交換ごっこ(お手伝いをしてポイントを貯めて何かと交換する)」などの楽しいイベントが行われる他、お金の専門家(金融機関など)ならではのアドバイスを受けられる可能性があります。
<03>お金の価値を感じる体験をしよう
子どもが小さいうちにも、お年玉など本物のお金に触れる機会はあるでしょう。子どもがお金に興味を持ち始めたら、
- 小さな金額、例えば300円くらいで「物を買う」体験をする
- 子ども用の貯金箱を用意して「貯める」経験をする
―など、お金の価値を体感させることも大切です。
(1)300円で何が買えるか考える

(2)貯金する
「○○を買うためにお金をいくら貯める」という目標を立ててみよう

晴美先生のMEMO
幼児期の子どもに金銭教育をする機会は家庭から始まります。学校では社会科や家庭科の授業で教わりますが、学ぶ時間は限られています。お金は生活に深く関わってきますし、広範囲にわたって学んでいく必要があるので、お子さんが小さいうちに家庭内で買い物体験など実践的な面を教えることが重要です。親子で買い物に行ったり、金銭教育のワークショップに参加したりすることでお金の教育のみならず、親子のコミュニケーションも取ることができ、働くことで賃金を得ることの大切さや、感謝の心も芽生えます。