共働きの家庭のパパ・ママで、産前休業や育児休業を取得している、または取得予定の人も多いのでは。子育て中心の生活から社会復帰する際は、さまざまな不安を感じるもの。育休明けの仕事と家事・育児の両立をするためのヒントを紹介します。
育休を経験した先輩ママに聞く 復職間近の不安 その解消法は?
育休中&育休後に復職したキャロットスタッフによる座談会を開き、仕事や家事・育児の両立に対する悩みとその解決法を探りました。
座談会に参加したのは
悩めるママ
育休ラスト3カ月!
先輩ママ
頼れる人や場所を見つけて安心材料を増やそう!
来春から復職予定のキャロットスタッフ有働希望さんは、育休ラスト3カ月を切り、「復帰後に仕事と両立できるだろうか」と心配しています。
これに対し、育休後に復職した経験のある立山靖子さんは「復職してみないとどうなるかは分からないし、何かあってもなるようになるもの。
不安を減らすためには、困ったときに頼れる人や場所を育休中にリサーチしておくと安心」とアドバイス。
また、2回の職場復帰経験がある上野華さんは、「あれもこれもと頑張ると自分が苦しくなるので、『最低限できたらよし』と自分のハードルを下げることが大切」と話してくれました。
先輩ママの話を聞いた有働さんは、育休中にできることや復帰後の心構えを知り、気持ちが軽くなった様子。「今後は困り事について職場の人や家族と確認し合い、解決策を考えようと思います」と笑顔で語ってくれました。
[Q1]1日が予定通りに進むか心配
[A]あまり悩まず 「まっいっか」の気持ちでOK
長女、次女、長男は現在高校生、中学生ですが、今でも予定通りにいかないことばかりです。
それでも子どもたちは育っているので、ご飯を食べて睡眠が取れたらOKくらいの心持ちでいる方がいいのかな、と思います。
親の不安な気持ちは子どもにも伝わってしまうかも。うまくいかなくても、「ま、いっか」と口に出して気持ちを楽にしています。
[A]予定は細かく決めず 自分のペース大切に
私は性格的に何でも完璧にやりたいタイプ。
1人目の時、予定を立てて仕事も家事も育児もきっちりこなそうとしたのですが、その通りにいかず精神的に追い込まれてしまいました。
心療内科に相談し、「自分を許す時間が必要」とアドバイスを受けてからは、手を抜けるところは抜くように心掛けています。
スケジュールをきっちり決めると「できなかった」が増えるので、細かく決めないようにしています。
確認しておきたい復職支援制度
(取材協力:熊本労働局)
制度 | 対象・期間 | 内容 |
---|---|---|
短時間勤務制度 | 3歳未満の子どもがいる社員が対象 | 1日の所定労働時間を原則6時間とする。 |
時間外労働の制限 | 子どもが小学校へ入学するまでの間 | 「1カ月24時間まで」「1年150時間まで」という条件で時間外労働が制限される。 |
所定外労働の制限(残業免除) | 3歳未満の子どもがいる社員が対象 ※令和7年4月から対象となる子どもの範囲が「3歳未満」から「小学校就学前」までに拡大される | 1回の請求につき、1カ月以上1年以内の期間、所定労働時間を超える労働が免除される。 |
子の看護休暇 | 小学校就学の始期に達するまで ※令和7年4月からは対象となる子どもの範囲が小学校3年生修了までに延長。取得事由も感染症に伴う学級閉鎖や入園(入学)式、卒園式が追加される | 一年度に5日まで、病気やけが、予防接種の受診などを理由に休暇の取得が可能。 ※子が2人以上なら10日まで |
詳しくは厚生労働省HPで確認を
[Q2]夫婦の家事分担はどうしている?
[A]復職前にきちんと話し合って
夫婦の仕事量や得意不得意などに応じて、できる限り家事を分担した方がいいと思います。
私は1人目の時から実家にばかり助けを求めていたため、今さら夫に頼みづらい雰囲気になってしまいました。
パートナーに「察してほしい」と思わず、復職前にきちんと分担について話し合っておくのがベターです。
[A]お互いのできる範囲で分担
夫が多忙だったため、家事・育児をほぼ一人ですることが多かったのですが、私の入院をきっかけに保育園のお迎えと子どもをお風呂に入れることを夫が担当するように。
簡単なことでも分担できると、負担がぐっと減ることを実感しています。
育休中にパパが家事や子どものお世話を練習したり、家事分担について話し合ってみたりするのも手かもしれませんね。
[Q3]きょうだいが続けて病気になったら?
[A]事前に対処法を調べておくと安心
子どもが病気になったときにどうするのか対処法を事前に調べておくと安心だと思います。
近くの病児保育に登録したり、子どもを見てくれるように家族や友人に頼んだりしておくことをお勧めします。
子どもの急な体調不良に備えて確認を!
- 保育園から連絡が来たときに取るべき行動の優先順位と分担
- 翌日以降の体制(夫婦のどちらが仕事を休むか、病児保育の手配)
- 病児保育が満員の時の頼み先(祖父母、親戚、友人など)
[Q4]子どもに寂しい思いをさせないか心配
[A]少しでも向き合う時間があれば大丈夫
私が育休明けに意識したことは、子どもが話しかけてきた時に手を止めて聞くことと、保育園の送迎時に笑顔でいること。
わずかな時間でも子どもとしっかり向き合えていれば、子どもはすぐに新しい環境に慣れるような気がします。
育休復帰のポイント
キャリアコンサルタントの広瀬美貴子さんに育休から復帰する際のポイントについて聞きました。
教えてくれたのは
育休中の事前準備が両立のカギ
復職に向けての不安は一人一人違うものです。まずはその不安を明確にし、書き出すことから始めましょう。次にその不安のレベルを
- 自分で、または身近な人の協力で解決できる
- 専門家に相談しないと分からない
- 世の中が変わらないと解決できない
―に分類します。(3)は悩んでも仕方がないこと。(1)は家族や友人、(2)はマザーズハローワークや女性のための相談窓口、県や市の子育て支援課、地域包括支援センターといった場所に相談し、得られた情報の中から自分に合うやり方や制度を取捨選択するといいでしょう。
もやっとしたまま立ち止まると不安で次に進めなくなります。1人で抱え込まず「どうやったら解決できる?」と、周りや制度をうまく活用して解決策を見つけることが大切です。
その他、子どものお世話を頼めるファミリーサポートや病児保育を確認しておくと安心です。ご両親を頼るときは感謝の気持ちを忘れずに、ルールを決めてお願いするようにしましょう。パートナーとは、家事の分担や子どもの送迎など役割分担を決めておくことも大事。復職前の情報収集や準備が、仕事と家事、育児のバランスを取るカギになります。