近年、子宮の入り口にできるがん「子宮頸がん」が、20〜40代の若い女性に増えているそうです。原因や症状、予防方法などについて専門家に聞きました。
女性の多くが一生に1回は感染 進行すると妊娠・出産にも影響
子宮の入口の「子宮頸部」にできる「子宮頸がん」。近年、20〜40代の若い世代の発症が増えています。国内では毎年約1万人が子宮頸がんと診断され、約3000人が亡くなっています。
子宮頸がんのほとんどは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染が原因です。HPVは性交渉で感染します。性交経験のある女性の過半数は一生に1度は感染するといわれています。しかし、HPVに感染しても90%の人が免疫で自然に排除します。
自然排除しなかった一部の人は数年から十数年かけ、子宮頸がんに進行する可能性があります。初期のがんであれば子宮の温存は可能ですが、妊娠時に早産のリスクが高まること、進行した場合は手術により妊娠・出産ができなくなるなどの影響が出ることがあります。子宮頸がんは検診で早期に発見できます。大切な体を守るためにも定期的に検診を受けましょう。
子宮頸がんとは…
亀山先生もっと教えて!”子宮頸がん”Q&A
- 子宮頸がんの症状は?
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自覚症状がないまま進行します。
初期の子宮頸がんは、ほとんどの場合、自覚症状がありません。性器からの不正出血やおりものの異常といった症状に気付いた時には、がんが進行していたというケースは少なくありません。自分では症状に気付きにくいのも、定期検診に行くことが必要な理由の一つです。
- 子宮頸がん検診はどのくらいの頻度で受けると良いでしょうか。
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2年に1回を推奨されています。
子宮頸がんは一般的に非常にゆっくりと進行するため、がんになる手前(前がん)の状態からがんになるには、数年から十数年はかかるといわれています。2年に1回の受診頻度でも有効というデータが多くあり、厚生労働省も20歳から2年に1回の検診を強く推奨しています。
- 検診の流れを教えてください。
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問診、視診、細胞診を行います。
◎問診
問診票に、月経周期や直近の月経の様子、生理痛の有無や月経血の量、妊娠歴、閉経した年齢などを記載していきます。また、診察室で医師からの質問に答えます。
◎視診
膣鏡を膣内に挿入し、子宮頸部を観察します。炎症や出血の有無を目で確認します。
◎細胞診
ブラシなどで子宮頸部を優しくこすり、細胞を採取します。ほとんど痛みはなく、短時間で済みます。
- 子宮頸がんは治りますか?
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発見が早いほど高確率で完治します。
前がんは経過観察を行い、場合によりレーザー治療を施すケースがあります。初期のがんは、病変部分を切り取る治療で完治を目指せますが、妊娠・出産に影響する可能性があります。子宮頸がんは発見が早いほど簡単な手術で治せるため、やはり定期的な検診が大切です。
- ワクチンについても教えてください。
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ワクチンによりHPV感染の予防効果が高まります。
HPVワクチンを接種することで、HPV感染を予防する効果が期待できます。現在、国内では令和7年度までキャッチアップ接種(※)が行われています。ワクチンやキャッチアップ接種の詳細はお住まいの自治体か婦人科にお尋ねください。
※平成9年度〜平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日〜2007年4月1日)の女性の中で、定期接種の対象年齢(小学6年~高校1年相当)の間に接種を逃した方が対象。自己負担なし
検査費用などはお住まいの自治体にお問い合わせを!
各自治体で子宮頸がん検診費用の助成を受けられます。検査実施機関やワクチンなどについてはお住まいの自治体にお尋ねください。
TOPIC
医療ボランティアサークル「GENERATION」
熊本保健科学大学の教授や学生らが立ち上げたボランティアサークル。医療関係者やNPOなどと連携し、子宮頸がんの予防をはじめとする健康づくりの啓発活動を行っています。毎年4月は「子宮の日(4/9)」にちなみ、学生が「ゆめタウン光の森」で買い物客にリーフレットを配布。子育て世代への子宮頸がん予防啓発にも力を入れています。