子どもの金銭教育に最適なのが「お小遣い」。いつからどうやって渡せばいいのでしょうか。タイミングや方法について紹介します。
<01>定期的に買い物体験を積む
年中・年長くらいの子どもには、前回紹介したように現金200円で何が買えるのかを体験させましょう。小銭を使った経験がない場合、お釣りで返ってきた小銭の数だけで「お金が増えた!」と思うこともしばしばあります。買い物の後は200円がどう減ったのか、何が買えたのかを親子で振り返ることも大切です。
<02>お小遣いを渡してみよう!
200円で買える物が分かると、子どもが欲しがる物、例えば、本やおもちゃ、ゲームなどの値段が高いことを理解できるようになります。数の概念や文字を理解できるようになる小学生ごろから、「お金を貯(た)めて欲しい物を手に入れる」経験をさせてみましょう。そのために、お小遣いを渡す必要があります。渡し方を3パターン紹介します。
(1)お手伝い制 | (2)定額制 | (3)プレゼン制 | |
仕組み | 子どもがお手伝いをした対価としてお小遣いを渡す | 学年×100円を基準に毎月渡す | 必要な物や欲しい物を親にプレゼンして通ればその金額を渡す |
メリット | 人の役に立つことをして、ありがとうの印としてお金をもらう経験ができる | 毎月一定額もらえるので、お金の使い方の見通しが立てやすい | 親を説得するための提案力や交渉力が身に付く |
デメリット | 「人のために無償で何かをする」という意識が芽生えにくくなる | 何もしなくても月に1回もらえるのでお金のありがたみを感じにくい | お金を貯めて使う経験ができない |
まずは「お手伝い制」からスタート
それぞれ、メリットとデメリットがあります。おすすめは①~③を段階的に取り入れる方法です。買い物体験をある程度積んで、お金の理解が進んだら、まずはお手伝い制で「人の役に立ってお金をもらう」経験をさせてみましょう。そして、パパやママがどんなことをしてお金を稼いでいるのかを簡単に伝えます。そうすることで、子どもは「お金の出所」を何となくでも知ることができ「銀行のATMから無限に出てくる」「スマートフォンを見せたら何でも買える」という誤解を生むことも減ります。ここまでを小学校入学前にできたらいいですね。
小学校入学を機に「定額制」へ
小学生になったら、定額制を導入して月に一定額渡してみましょう。金額は「学年×100円」がおすすめです。将来月給をもらう仕事に就いたときのお金の使い方を疑似体験することができ、やりくりを経験できます。
また、学年が上がるにつれ、定額の範囲では賄いきれないことが増えてくるはずです。そこでプレゼン制を組み合わせてみましょう。子どもから「欲しい物があるから」と定額のお小遣いとは別にお金を要求された場合、子どもに理由を聞いて納得できれば渡す、できなければ渡さないようにしましょう。
お小遣いを通して「お金はありがとうの印」であることを学び、「限られたお金を計画的に使うor貯める力」「提案力や交渉力」を高めることができます。生きていく上で切り離せないお金のことを親子で長期的に学んでいけるといいですね。
<03>家庭のルールを決める
お小遣いを渡すときに大切なのが、親子でお金に関するルールを決めておくことです。定額制の場合は「お金の使い道に関して親は口出ししない」など子どもの決断を見守ることが大切です。また、祖父母からのお小遣いなど臨時収入が入った際に子どもに渡す金額を決め、残りは貯金するなどルール化しておきましょう。
麗子先生のアドバイス
お小遣いを使い切ってしまい困るというような小さな失敗を子どもが経験することも大切です。家庭に合ったやり方で子どもにお小遣いを渡し、子どもの金銭感覚を育んでいきましょう。
CFP(R)ファイナンシャルプランナー 吉田 麗子さん
結婚を機に退職後、家計がピンチになり、お金の勉強をスタート。ファイナンシャルプランナー(CFP®)を取得し、2006年起業。自身の“お金オンチ”な経験を生かした分かりやすいアドバイスに定評がある。小学生と中学生の三姉妹の母。福岡県在住。