子どもの成長とともに多くの人が検討している「マイホーム(新築一戸建て)の購入」について2回にわたって紹介します。今回は、家を購入するメリットやデメリットのほか、予算の決め方などをアドバイス。
<01>「購入ありき」なのか?
近年、「子どもが小学校に入学する前にマイホームを建てる」というモデルケースが少しずつ多様化しています。一つは長寿化の影響です。出産後間もなく家を購入すると、居住期間が長くなってしまいます。そうすると、必然的に修繕費やリフォーム費用が多く必要になります。子育て期間よりもシニアライフに居住する期間の方が長くなり、以前は心地よかった家が、老後は広すぎて手入れを負担に感じる人も増えています。
また、物価高騰や賃金の停滞、低金利の状況が続くことで家計が厳しくなり、住宅購入の頭金を準備できないケースもあるようです。
まず「私たちの住まい」に求めるものは何かを家族で話し合いましょう。立地や間取りなど「賃貸では得られないメリットがあり、購入した方が良い!」となれば、次のステップ「予算決め」に進みます。
新築一戸建ての主なメリット・デメリットを参考に、家族で話し合おう!
メリット
- プライバシーが守られる
- 専用の庭や駐車場を持てる
- 自分で間取りや内装を決められる
- 住宅ローン完済後は家賃の支払いがない
- もしもに備えて「団体信用生命保険」に加入できる
- 資産になる
デメリット
- 子育て期に支払いが多くなる(頭金や住宅ローン)
- 税金や保険料、修繕費などの費用がかかる
- 同居や引っ越しなど、ライフスタイルの変化に対応しづらい
- 災害で家が壊れたら自己負担で修繕しなければならない
<02>住まいの予算を決めよう
出産年齢や家族構成、働き方などが多様化している今、一概に「住まいの予算は年収の〇倍まで」とは言えなくなりました。そこで、ぜひ作成してほしいのが、将来の収入・支出・貯蓄残高のシミュレーションができる「キャッシュフロー表」です。自分で作るのはもちろん、より精度の高いものを希望する場合は、ハウスメーカーやお金の専門家であるファイナンシャル・プランナーに依頼して作成することもできます。
ポイントは、「住宅ローンの支払いを続けながら、教育費も確保できるかどうか」です。あくまで目安ですが、大学資金は自宅から通う場合でも500万円ほどかかるといわれています。住宅ローン減税で戻ってくるお金は貯蓄に回せると良いですね。
また住宅購入費以外にも、居住期間には固定費の支払いが続きます。固定資産税や水道光熱費(広くなることで賃貸より高くなる可能性があります)、修繕費などです。他にも頭金や諸費用(住宅ローンの銀行手数料、登記費用など)といった現金で支払う費用もあります。それを知らずして安易に住宅を購入し、家計に大きな影響を与えないよう、必要な費用をあらかじめ把握した上で全体を見通した資金計画が重要です。
POINT
子どもの教育費がかからなくなるまでの20〜30年分を目安に作りましょう!
キャッシュフローの書き方(見本)
麗子先生のアドバイス
「住まいに求めるもの」と「予算」、この2点について家庭で話し合いをしておくと、マイホーム計画がスムーズに進みます。この話し合いをおろそかにして、マイホーム購入ありきで進めてしまうと、家づくりやお金のことで夫婦げんかが多くなり、疲れてしまう人も。人生最大の買い物といわれるマイホームの計画を、後悔なく進めたいものですね。次回は、住宅ローンの選び方や子育て世帯優遇制度についてお伝えします。
CFP(R)ファイナンシャルプランナー 吉田 麗子さん
結婚を機に退職後、家計がピンチになり、お金の勉強をスタート。ファイナンシャルプランナー(CFP(R))を取得し、2006年起業。自身の”お金オンチ”な経験を生かした分かりやすいアドバイスに定評がある。小学生と中学生の三姉妹の母。福岡県在住。